支払う国民健康保険料はなるべく安くしたいですよね。
国民健康保険の基本単位は「世帯」です。
この世帯をしっかり考えると、もしかすると保険料が安くなるかもしれません。
親と同じ世帯にしたほうがいい?
先日お父様を亡くされたTさん。
今回は、近所で別居していたお母様のことでご相談をいただきました。
ちょうど今月65歳になるお母様は、基本的には年金で自分の身の回りのことをされるそうです。
ただ、生活が心配なので現在のTさんのお住まいに引っ越されるご予定とのことで、ご世帯を一緒にすべきかどうか悩んでいらっしゃいました。
「一緒にすれば私の国保組合に加入させることもできるんだけど、インターネットを見ると別世帯にしておいたほうがいいとかあって、悩んでしまって…。」
たしかに、ご世帯を一緒にするか別にするか、また世帯主がどなたなのかによって状況は異なってまいります。
まず基本的な考え方としては、世帯は生計を一緒にする方々をひとつの世帯として考えます。
制度上は、何かの費用を安くするために世帯をわけておく/一緒にするという判断ではないことに注意してください。
国民健康保険料の計算方法は?
※写真はイメージです
国民健康保険や介護保険は、お住まいの市区町村が主体となっています。
そのため、お住まいの場所によって国民健康保険料(税)と介護保険料の金額は異なります。
保険料の計算をするには、まずはお住まいの市区町村の保険料の計算方法を確認する必要があります。
HP上に計算方法が掲載されていることがほとんどですので、確認してみましょう。
たとえば、HPで国民健康保険料の計算についてこのような表が掲載されていたとします。
国民健康保険料の計算 | 所得割額 | 均等割額 | 平等割額 |
基礎課税額(医療分) 国保加入者全員が対象 | 被保険者の基準総所得額 ×6% | 加入者1人につき 20,000円 | 1世帯について 20,000円 |
後期高齢者支援金課税額 国保加入者全員が対象 | 被保険者の基準総所得額 ×2% | 加入者1人につき 10,000円 | 1世帯について 10,000円 |
介護納付金課税額 (40~64歳の方が対象) | 被保険者の基準総所得額 ×3% | 加入者1人につき 15,000円 | 課税されません |
基準総所得という言葉がありますが、これは給与や営業などの合計所得から33万円を引いた金額のことです。
(2021年度からは、33万円が43万円になる予定です)
この例では、所得割額、均等割額、平等割額の3種類を合計した金額がそのご世帯の1年間の国民健康保険料になります。
市区町村によっては、「資産割額」と言ってお持ちの固定資産の税額の何%という計算方法も追加される場合があります。
逆に、平等割額もなく所得割額と均等割額のみで計算をする市区町村もあります。
ですので必ず計算を行う際はお住まいの市区町村の計算方法を確認してくださいね。
例えば40歳と38歳のご夫婦の場合は、38歳の方は基礎課税分と後期高齢者支援分の欄を使用して計算した合計額です。
40歳の方は、あわせて介護納付金課税額も計算する必要があります。
平等割額は1世帯当たりの金額のため、1人世帯でも10人世帯でも一律同じ金額です。
もし世帯をわけた場合は、平等割額の金額が世帯分増える可能性があります。
国民健康保険料は、世帯主と被保険者の所得で割引率が変わる
国民健康保険料(税)には、所得が少ない人のための割引制度(軽減)があります。
軽減は、平等割と均等割の部分について適用されます。
令和2年度では、以下の所得の方が軽減を受けられるようです。
7割軽減 | 総所得金額が 33万円以下 の世帯 |
5割軽減 | 総所得金額が次の算式を超えない世帯 33万円+28万5千円 ×被保険者数 |
2割軽減 | 総所得金額が次の算式を超えない世帯 33万円+52万円 × 被保険者数 |
7割以外はなんだかわかりづらいですね。解説します。
例えば被保険者数(その世帯で国保に加入している人の人数)が3人の場合は、
33万円+28万5千円×3=118万5千円までの所得なら5割引きになりますよということです。
※所得についてはわかりづらいので別の記事にしますね。
この軽減は、特に申請が必要なわけではなく、対象になった場合は自動的に割り引かれます。
今回のTさんのお母さんは、収入は年金だけです。月々7万円ほどの年金をもらうということなので、1年間で84万円です。
年金収入84万円では所得0円になります。そのため、所得33万円以下となり7割軽減の該当になるのです。
FPは個々の税金額の計算を行うことができないため、Tさんのお住まいの市へ電話で確認し、計算をしてもらいました。
では、世帯主がTさんのご世帯の一員としてお母様が国保に加入された場合はどうなるでしょう。
Tさんはフルタイムでお仕事をされており、住民税もしっかり課税されています。
この場合、Tさんは国保加入者でないにもかかわらず、お母様の保険料の軽減は受けられない可能性があります。
国民健康保険料(税)の軽減の計算に使用する所得は、世帯主と被保険者全員の所得で考えるという決まりがあります。
ですので、Tさんが国保でなくてもTさんの所得は割引をするかどうかの判定には使われてしまうということなのです。
注意していただきたいのは、所得割額の計算には国保に加入していない世帯主の所得金額は使われないということです。
所得割額の計算は、あくまで国保に加入している方の所得で計算します。
そのため、もし国保に加入している方は所得が0円で、国保に加入していない世帯主がお勤めしていて所得が大きい場合は、割引は受けられませんが所得割額は0円です。
表の例でいえば、均等割額と平等割額の合計がその年の国民健康保険料の金額ということになります。
Tさんのお母様を同一のご世帯にすると、国保組合の一員となって保険料がかからないそうです。
もしそちらを選択できるのなら、一緒のご世帯が良さそうですね。
ただ別の世帯にしても、軽減の額が大きいので国民健康保険料も大きな金額にはならないようです。
書いていてなんですが、難しいですよね。
今日はここまでにして、まとめましょう。
まとめ
国民健康保険料(税)は、市区町村ごとに計算方法が異なります。
必ずお住まいの市区町村の計算方法をご確認ください。
所得が少ない方が国保に加入されると、保険料の割引(軽減)があります。
ただし、国保でない会社勤めの方などが世帯主の場合、軽減にあたらない場合があります。
次回は介護保険料についてみていきます。
公的保険の制度は、難しいですね。