前回から引き続き、保険料を安くしたいけれど世帯をどうすればいい?というお話です。
前回のお話はこちらからどうぞ。
介護保険料は、住民税が課税か非課税かで金額が変わる
介護保険料は、国民健康保険料と違い所得の何%といった個別的な計算は行いません。
所得段階によってわけられ、該当する段階の保険料を支払うことになります。
こちらもお住まいの市区町村の計算方法をしっかり確認する必要があります。
例えば、以下のように介護保険料の段階が決められていたとします。
(例)介護保険料の計算
段階 | 対象になる人 | 保険料(円) |
第1段階 | 生活保護の受給者 老齢福祉年金受給者で、世帯全員が市民税非課税の方 世帯全員が市民税非課税で、本人の前年の合計所得金額と公的年金等収入額の合計が 80万円以下の方 | 23,400 |
第2段階 | 世帯全員が市民税非課税で、本人の前年の合計所得金額と公的年金等収入額の合計が 80万円を超え、120万円以下の方 | 31,200 |
第3段階 | 世帯全員が市民税非課税で、本人の前年の合計所得金額と公的年金等収入額の合計が 120万円超の方 | 46,800 |
第4段階 | 世帯の誰かに市民税が課税されているが、本人は市民税非課税で、本人の前年の 合計所得金額と公的年金等収入額の合計が80万円以下の方 | 70,200 |
第5段階 | 世帯の誰かに市民税が課税されているが、本人は市民税非課税で、第4段階に 当てはまらない方 | 78,000 |
第6段階 | 本人が市民税課税で、前年の合計所得金額が125万円未満の方 | 89,700 |
第7段階 | 本人が市民税課税で、前年の合計所得金額が125万円以上200万円未満の方 | 93,600 |
第8段階 | 本人が市民税課税で、前年の合計所得金額が200万円以上300万円未満の方 | 101,400 |
第9段階 | 本人が市民税課税で、前年の合計所得金額が300万円以上400万円未満の方 | 113,100 |
第10段階 | 本人が市民税課税で、前年の合計所得金額が400万円以上500万円未満の方 | 120,900 |
第11段階 | 本人が市民税課税で、前年の合計所得金額が500万円以上600万円未満の方 | 132,600 |
第12段階 | 本人が市民税課税で、前年の合計所得金額が600万円以上の方 | 140,400 |
アンダーラインを引いたところを確認していただくとわかるのですが、市民税(住民税)が課税か非課税かによってまず段階が決まります。
今回の例では、本人が住民税を支払っている場合は第6段階~第12段階に当てはまるということです。
もし支払っていない場合は、世帯全員が住民税の支払いがなければ第1段階~第3段階、世帯の中に住民税を支払っている方がいれば第4段階または第5段階とわかります。
そのため、ご本人の収入が年金だけで住民税非課税の場合でも、同じご世帯の働き盛りの方が住民税を支払っていれば、支払う介護保険料は上昇するということです。
例えば年金を1年間に130万円受け取る場合、世帯が非課税なら46,800円、家族に課税者がいれば78,000円です。
年間で3万円以上変わってしまいます。
さらに、介護保険料は原則年金からの天引きです。
口座に振り込まれる前に差し引きされ、残額が口座に入金されます。
同じご世帯の方が補助してくださったり協力して生活を営んでいるのであれば、大きな負担とはならないかもしれません。
ですが、世帯上は同一でもほとんど援助がない場合は、世帯をわけて高齢者の方のみの世帯にする、ということも検討の余地があります。
個人的には、自身の所得以外の要件で保険料率が変わることについては否定的な意見です。
所得税や住民税のような、個人個人の所得に応じた保険料の算定が一番フェアであると考えています。
世帯がわかれているときには、行政手続きが面倒になることもある
介護保険料については、所得が少ない高齢者世帯だけのほうが働き盛り世代と同一世帯になっているより低く抑えられます。
ですが、世帯が分かれている場合は行政窓口でのお手続きが簡単にできないことが増える場合があります。
例えば、住民票です。
住民票は同一世帯の方であれば委任状がなくても窓口で取得することができます。
ですが、たとえ親子でも別世帯となっている場合は委任状が必要です。
せっかく窓口に行っても、委任状がなくて結局もらえず…という話はよくあるものです。
保険証の手続きについても、国民健康保険の場合は別世帯の方がお手続きにくる場合は委任状を必要とする場合が多く、入院の際に保険証が見当たらないけれど、再発行をしたくても委任状を書いてもらえない!と慌ててしまうこともあるかもしれません。
そうならないためには、使用するものの場所をお互い把握しておく、行政窓口には可能な限り本人が一緒に出向くなどの対策をすることが必要かと思います。
今回のTさんは、世帯をわけたまましばらくは生活することに決めたそうです。
お一人で生活するのが難しくなった場合はまた考えましょうということで、お話を終えることができました。
まとめ
2回にわたって国民健康保険と介護保険のお話、特に保険料の部分についてご説明しました。
介護保険料は段階での計算になるため、ご自身とご世帯の区分がどこに該当するかお住まいの市区町村で確認してみましょう。
住民税がかかるかどうかでかなり金額が変わりますよ。
また、親子で世帯をわけていると、行政手続きをする際に委任状を求められることが多くなります。
先に知っていれば対策できることですので、知識として知っておいていただければと思います。
公的な保険については保険料と給付それぞれが重要です。
今回は保険料についてでしたが、後日保険給付についても書いていこうと思います。